東京で「食べる」だけでは終わらないレストランが増えている。
映像に包まれながら食事をする。テーブルの上に3DCGキャラクターが現れる。壁に触れると映像が反応する。プロジェクションマッピングを導入した「体験型レストラン」が、東京の飲食シーンを変え始めています。
MIRASISONEは、この領域で2つの店舗の演出を手がけてきました。渋谷「Whitely 小人シェフ」と麻布「和ノ音」。この記事では、2つの実績を通じて見えてきた東京のプロジェクションマッピングレストランの現在地と、体験設計の考え方を解説します。

東京のプロジェクションマッピングレストラン——2つのアプローチ
東京でプロジェクションマッピングを導入した飲食店は、大きく2つのアプローチに分かれます。MIRASISONEが手がけた2店舗は、それぞれ異なるアプローチの代表例です。
アプローチ①:テーブルエンターテインメント型——渋谷「Whitely 小人シェフ」
渋谷の完全予約制レストラン「Whitely 小人シェフ」は、テーブルの上を舞台にしたプロジェクションマッピングです。
料理が運ばれてくると同時に、テーブル上に3DCGの小人キャラクターが現れます。小人がフライパンを振り、火を起こし、料理を仕上げる——その映像が、実際の料理と完全に連動して展開されます。器の位置が変わればリアルタイムに映像が追従し、コース全体を通じてストーリーが進行します。
1日4組限定・完全予約制。広告費ゼロでSNSからの予約が殺到し、予約困難店になりました。
Whitelyの設計思想
- 映像の主役は「3DCGキャラクター」。料理と映像のエンターテインメントを楽しむ
- テーブル上という「手の届く距離」での体験。親密さとワクワク感
- 「見たら撮らずにいられない」SNS拡散を前提にした画角設計
アプローチ②:270度没入型——麻布「和ノ音」
東京・麻布の体験型焼肉割烹「和ノ音」は、空間全体を映像で包み込む270度没入型のアプローチです。
正面+左右の3面を連続した映像が覆い、テーブル上にも映像が投影されます。壁面に桜が舞えばテーブルにも花びらが落ち、水の流れが壁を走ればテーブルにも水面の光が揺れる。壁面とテーブルが「ひとつの世界」として連動し、席に着いた瞬間から映像の中に入り込む感覚になります。
さらに、壁面やテーブルの映像に触れると映像がリアルタイムに反応するインタラクティブ演出も搭載。触れて遊べる体験型の焼肉割烹として、日本の食材と映像が交わる、ここにしかない体験を提供しています。
和ノ音の設計思想
- 映像の主役は「空間と四季」。料理は映像に包まれる形で引き立てられる
- 270度の視界を映像で満たす没入感。「映像の中で食事をしている」体験
- インタラクティブ演出で「見る」から「触れて参加する」体験へ
- 季節ごとに映像を更新し、リピート来訪の動機を設計
和ノ音 Instagram:https://www.instagram.com/azabu.wa_note

2つの店舗に共通する「体験設計」の原則
Whitelyと和ノ音はアプローチが異なりますが、MIRASISONEが設計思想として共通して貫いている原則があります。
原則①:料理が主役。映像は料理を超えない
飲食店のプロジェクションマッピングで最もやってはいけないのは、映像が料理より目立つことです。
Whitelyでは、料理が提供される瞬間に小人キャラクターの動きが料理を「紹介する」演出にし、食事中は映像を控えめにしています。和ノ音では、料理が運ばれてくると壁面映像の動きが穏やかになり、食べ終わると次のシーンが展開される。映像は常に料理に「寄り添う」立場です。
原則②:コースの感情曲線に映像を同期させる
コース料理には、前菜の繊細な期待感→メインの高揚感→甘味の余韻という感情の起伏があります。映像はこの感情曲線にぴったり寄り添うように設計します。
Whitelyでは小人キャラクターの動きのテンポが料理のペースと連動し、和ノ音では映像の色彩とダイナミズムが料理の温度感に合わせて変化します。この「映像のリズム=料理のリズム」の設計が、「あの体験が忘れられない」という記憶を作ります。
原則③:「撮りたくなる瞬間」を設計に組み込む
両店舗とも、SNS拡散を「結果」ではなく「設計要素」として組み込んでいます。
- スマホの縦構図で映える画角をシミュレーション
- 「今だ!」と思わず構えるタイミング(料理提供の瞬間、映像の劇的な変化の瞬間)を意図的に配置
- スマホカメラで撮影した時にも色が飛ばない輝度・色彩調整
この設計により、両店舗とも広告費をかけずにSNS経由の集客が機能しています。
原則④:照明と映像を両立させる
飲食店PMで最も技術的に難しいのは、料理を美しく見せる照明と映像の没入感の両立です。
暗すぎると料理が見えない。明るすぎると映像が薄くなる。MIRASISONEでは、料理のみをピンポイントで照らすスポットライト+映像の輝度を料理提供タイミングで動的に制御する方式を採用しています。この調整は設計値だけでは完成せず、実際の料理と器を置いた状態での現地テストで最終的に追い込みます。

東京で「プロジェクションマッピング×レストラン」が広がる理由
理由①:「味だけでは選ばれない」時代
東京はミシュラン掲載店だけで200軒以上。料理の質だけで差別化するのは年々困難になっています。「あの店に行くと、こんな体験ができる」という体験の付加価値が、予約の決め手になる時代です。
理由②:SNS拡散という「無料の広告」
プロジェクションマッピングの体験は、写真・動画映えが極めて高い。来店者が自発的にSNSに投稿することで、広告費をかけずに認知が広がります。Whitelyが広告費ゼロで予約困難店になったメカニズムがそのまま再現可能です。
理由③:客単価と体験単価の両立
プロジェクションマッピングを導入した店舗は、通常の飲食店より高い客単価を設定しやすくなります。来店者は「食事」ではなく「体験」に価値を感じて支払うため、料理の原価率ではなく体験の満足度で価格が決まる構造が生まれます。
理由④:インバウンド需要の受け皿
「日本の夜はやることがない」と言われる中、東京で夜に体験できるユニークなコンテンツとして、プロジェクションマッピングレストランはインバウンド観光客にも強い訴求力を持ちます。言語の壁を超えて「映像×食」の体験価値が伝わる点も大きな強みです。
MIRASISONEの飲食店PM——2つの実績から次の店舗へ
MIRASISONEは、東京で2つの飲食店プロジェクションマッピング実績を持つ制作会社です。
渋谷「Whitely 小人シェフ」
テーブルPM。3DCGキャラクター×料理連動。予約困難店。
麻布「和ノ音」
270度壁面+テーブルPM+インタラクティブ演出。体験型焼肉割烹。
この2つの実績から得た知見——料理を主役にする映像設計、照明との両立、SNS拡散の仕掛け、コース連動の技術、インタラクティブ体験の設計——を、次の飲食店に活かします。
「自分の店でもプロジェクションマッピングを導入したい」「まだ構想段階だが概算を知りたい」——そのご相談を歓迎しています。
