「導入したいけど、何から始めればいいか分からない」
飲食店へのプロジェクションマッピング導入で最も多い相談がこれです。映像制作、機材選定、施工、照明調整——やることが多く、全体像が見えないまま動くと手戻りが発生します。
この記事では、MIRASISONEが実際に手がけた渋谷「Whitely 小人シェフ」と麻布「和ノ音」の2店舗の実例をベースに、飲食店へのPM導入の全工程を時系列で解説します。
全工程の概要:着手から本番稼働まで約2〜3カ月
飲食店へのPM導入は、大きく5つの工程で進行します。
- 工程① ヒアリング・現地調査(1〜2週間)
- 工程② 企画・コンセプト設計(1〜2週間)
- 工程③ 映像制作・3DCG制作(4〜6週間)
- 工程④ 機材調達・施工・調整(1〜2週間)
- 工程⑤ 本番稼働・運用開始
合計で約2〜3カ月が標準的なスケジュールです。
工程①:ヒアリング・現地調査(1〜2週間)
最初の問い合わせで伝えるべきこと
制作会社への最初の問い合わせでは、以下を伝えるとスムーズです。
- 店舗の業態と雰囲気(和食/洋食/焼肉/バー等)
- 導入したいエリア(テーブル/壁面/個室全体等)
- 目的(SNS拡散/記念日需要/客単価UP/接待利用等)
- 希望時期(いつから稼働させたいか)
- 予算感(概算レンジでOK)
現地調査で確認すること
MIRASISONEでは、見積もり前に必ず現地調査を行います。確認するのは以下のポイントです。
天井高
テーブル投影は2m以上、壁面投影は2.5m以上が目安。天井高が足りないとプロジェクターの投影距離が確保できず、映像サイズが制限されます。
照明環境
店内が明るいほど高輝度のプロジェクターが必要になり、コストが上がります。「どこまで暗くできるか」が重要な確認事項です。
電源容量
業務用プロジェクターは消費電力が大きいため、既存の電源容量で足りるか確認。足りない場合は電気工事が必要になることもあります。
搬入経路
プロジェクターやスクリーン材の搬入ルートを確認します。東京の飲食店はエレベーターが狭い、階段のみという物件も多く、事前確認が必須です。
壁面・天井の素材と色
白い壁面が最も映像が映えますが、木目やコンクリートの場合は色補正が必要。天井にプロジェクターを吊れるかどうかも確認します。

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工程②:企画・コンセプト設計(1〜2週間)
「何を投影するか」を決める
現地調査の結果をもとに、映像コンセプトを策定します。
Whitelyの場合
「テーブルの上に小人シェフが現れ、料理と連動して動く」というコンセプト。料理の提供タイミングと映像シーンの対応表を作成し、コース全体のストーリーを設計しました。
和ノ音の場合
「日本の四季を270度壁面+テーブルに投影し、料理と映像が一体になる没入空間」というコンセプト。春(桜)・夏(清流)・秋(紅葉)・冬(雪景色)の4シーズン分の映像を設計しました。
コース連動の設計
飲食店PMの最大の特徴は、料理のコース進行と映像シーンを連動させる点です。
前菜では繊細で静かな映像、メインではダイナミックな映像、甘味では余韻を残す穏やかな映像——料理の「感情曲線」に映像が寄り添う設計が、「あの体験が忘れられない」という記憶を作ります。

工程③:映像制作・3DCG制作(4〜6週間)
最も時間がかかる工程
全工程の中で最も期間を要するのがこの映像制作です。
Whitelyの場合
小人キャラクターの3Dモデリング→テクスチャリング→アニメーション→テーブルの形状に合わせた映像の幾何学補正、という工程。キャラクターの表情や動きの1つひとつにこだわるため、数週間を要しました。
和ノ音の場合
四季4シーズン分の映像を制作。壁面の凹凸や角への投影を考慮した3D空間での映像設計が必要で、通常の映像制作より工数がかかります。
この段階でのオーナーの関わり方
映像制作中にオーナーに確認いただくのは主に以下の2点です。
- 映像のプレビュー確認(モニター上での中間チェック)
- コース連動のタイミング確認(料理の提供ペースと映像切替の整合性)
大幅な方向転換はこの段階までに。施工後の修正は映像のみの微調整に限られます。
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工程④:機材調達・施工・調整(1〜2週間)
施工は営業時間外に
飲食店への施工は、営業時間外(深夜〜早朝)に行うのが一般的です。Whitelyも和ノ音も、営業に影響を与えずに施工を完了しています。
施工の工程は以下の通りです。
プロジェクター・センサーの設置
天井吊り or 棚置き。壁面への非接触設置が原則です。
配線・電源工事
プロジェクター・制御PC・センサーへの電源供給ルートを設置。来店者から見えないように配線処理を行います。
映像の位置合わせ(キャリブレーション)
プロジェクターの投影位置を実際のテーブル・壁面に正確に合わせる作業です。ミリ単位の調整が必要になります。
照明との最終調整
実際の料理と器を置いた状態で、照明と映像のバランスを最終調整。料理が美しく見え、かつ映像も没入感を保つ最適値を目視で追い込みます。
テスト営業
施工完了後、スタッフのみでテスト営業を実施。映像の動作確認、コース連動のタイミング確認、照明バランスの最終チェックを行います。
工程⑤:本番稼働・運用開始
スタッフが覚えること
映像の再生・停止・シーン切替は、専用リモコンで操作します。導入時にスタッフへの操作レクチャーを行い、日常的な映像のオン/オフやシーン選択はスタッフ自身で行っていただく形です。
操作自体はシンプル(ボタン数個)ですが、「いつ・どのタイミングで映像を切り替えるか」のオペレーションを接客フローに組み込むことが重要です。導入時にMIRASISONEがオペレーションマニュアルを作成し、実際の営業を想定したリハーサルを行います。
導入後の運用
常設PMの場合、以下の運用が発生します。
- 映像コンテンツの更新:店舗様のご希望に応じて対応。季節ごとの映像切替、新メニュー連動の映像追加など、タイミングと内容はご要望ベースで制作します。
- トラブル対応:機材の不具合やセンサーの調整が必要な場合は、状況に応じて出張対応します。
MIRASISONEの飲食店PM導入実績
渋谷「Whitely 小人シェフ」
テーブルPM×3DCGキャラクター。コース連動。予約困難店に。
麻布「和ノ音」
270度壁面+テーブルPM+インタラクティブ演出。体験型焼肉割烹。
この2店舗の導入プロセスで得た知見を、次の飲食店にも活かします。
「まだ構想段階です」「12月のクリスマスに間に合うか確認したい」——そのご相談を歓迎しています。
